ヤオ族のヴェール
中国南部からインドシナ山岳地帯に暮らすヤオ族の分派、ミエンの女性たちは、婚礼時に一枚のヴェールをまといます。その布は黒く、不思議なことに濃紺やこげ茶など、同系色な糸で刺繍が施されています。50-70年前の婚礼時に実際に使用された布の画像です。
無為自然の民、ヤオ族の人々
ヤオ族の人々は決してフレンドリーではない。他民族というより他人との接触を好んでいるとはいえない。たとえば、人と接する商売などはあまり「美しいこと」ではないようだ。村をぶらつきながら刺繍布を譲ってもらっていると買い手の私どころか、売り手のヤオ族のおばさんまでが近所の人に商売人の「漢族」呼ばわりされたりする。それにヤオ族の人々は外の人とあまりかかわりを持ちたがらないのだ。実際のべ100日以上は村に入って彼らの生活空間にご一緒させていただいたけれどもとっても仲良くなったという人は少ない、「飯でも食ってけ!」と挨拶する元気な叔父様も少なかった。別段嫌われているわけでもなく私が彼らの村で布さがしをしているのも、(別段有害であるわけではないので)すべてを能動的に受け入れている、という具合だ。これをすべてタオイズム(taoism彼らの宗教は道教)で解釈することできないが、少なくともその根底にある「自然無為」を体感できたと思う。たとえばなにかを「求めない」のではなくて「求める」感覚すら起こさない(起こさないという意識すらない)。すべてに作為と意図に満ちている日本で意識したい思想だ。