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子供の頃の手袋

 株式会社アーチコレクションは平成18年6月23日に設立された。母がその約2ヶ月ほど前の4月28日に亡くなり、岩手県の山奥の民家に移り住みそこで少しづつ仕事を始めた。実家は遠く遺品整理を手伝えないので捨てるものも含めて不要なものは兄弟にすべてその民家に送ってもらった。その中にこの手袋が入っていた。
 この手袋を見た瞬間、懐かしさといとおしさとが込み上げてきた。と同時にこの愛の結晶が当社(私)のアーチコレクション設立の想いの原点であると深く感じる。

伝わる愛の技

 十年ほど前までのアジアの民族衣装には色濃くこの「愛」が残っていた。織り込まれた絣模様やち密に施された刺繍、よく紡がれた糸にいたるまで家族のためにほとんど時間など気にせず制作されていた。素晴らしいと思えるものがたくさんあった。「時間がお金」ではない価値観を持った人でないと丹精込めて作ることはできない。
 手作りなので当然技量の良しあしがある。衣装を作るのはほとんどお母さん、お母さんという立場は同じでも性格は千差万別、細かいことが嫌いな人やめんどくさがり屋さん、気の短い人などは不適な人も多い。そんな人たちの性格は見事に作品にあらわれる。私でも・・・と思えるようなものもある。しかしながら子供のころから針と糸はしつけられているので大体の人はそれ相応のことはこなし一定のレベルのものが制作されていた。みんながある程度の生活ができていたころまでの話であるが。 彼らは子供のころから糸と針は持つ(早い子は三才くらいから)。母親が仕事の合間を縫って綿収穫、綿打ち、紡ぎ、染め、織り、縫製、刺繍のような、衣装が制作されるまでの作業をこなす。基本を「見せて教える」のである。その後は親や祖母の技術をみて、または教えてもらって友人などと技を磨いてゆく。美しい衣装が出来上がるまでには長い長い年月と努力が費やされるのである。いつしか娘も親となり子供や夫の衣装を制作するようになる。
私はこの後の過程が好きでこの仕事を続けている。素晴らしく丁寧に制作された通常、衣装や布は生活する時間と共に朽ちてゆく。しかしこの愛に満ちた衣装はそうではない。膝小僧をすりむき野山を駆け回った子供の衣装には継ぎ接ぎだらけに当て布をし、それでも自分の垢や汗がしみ込んで、愛着もわく。ましてお母さんの作ってくれたもの。大事に大事に使われる(丁寧ということではない)。ここまでいった生命力のある布は本当に美しいと思う。
この愛の結晶を皆さんに見せたい、そしてこれを売って商売にしたい!「これが人間の一番大切なところだ(表現できないが愛に近い)」と信じているから。